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ゆー and みー with104

20代専業主婦の育児、生活、漫画と本の話。嬉しいことも苦しいことも笑いに変えて前向きに生きたい人へ。

お題スロット/読書感想文 三田誠広『いちご同盟』

お題「読書感想文」

 

こんにちは☆母ブロガーのKoriです。

私は昔、作文が苦手でした。

長く文章を書くことが特に苦手で、規定の字数を稼ぐのにとても苦労しました。

読書感想文も例外でなく苦痛で、いったい何を読んで何を書いたらいいのか全くわからず、一生懸命句読点や会話の引用を使って原稿用紙を埋めていたような気がします。

 

でも、中学生のとき、心から感想を書きたいと思える本に出会いました。

それは、三田誠広の『いちご同盟』でした。

 

生きていることの意味がわからずに悩むピアノ少年良一が、ある日、野球部の同級生徹也に頼まれ、彼の試合をビデオで撮影するところから物語は始まる。

そのビデオは、彼の友人、直美に見せるためのものだった。その出会いを機に、良一も直美と交流するようになる。

病気で死期が近い直美との交流を通して、良一の中にある「どうせみんな死んでしまうんだ」という気持ちが変化していく。

 

この本を読んだということを、なぜかわからないけれど、誰かに伝えたくて仕方がなかった。

何と言えばいいだろう、すごくモヤモヤして重たい気持ちになるのに、同時に切迫感も抱かせられる。

作中に出てくる『亡き王女のためのパヴァーヌ』の旋律を重ねながら物語に入り込むと、もう抜け出せない。

永遠に繰り返される同じ旋律に足を取られ、もがいても、もがいても、這い上がれそうにない不安。

でも、見上げると小さく輝く星が見える。脆く小さいのに輝く命の光に優しく包まれ、救われる。

そんな感覚に浸ることができる小説だった。

 

なぜ生きているのだろうとか、どうせみんな死んでしまうんだとか、読んだ当時も今も、全く考えたことがないし、そのようなことで悩み悶々とする主人公の気持ちには、少しも共感できなかったけれど、そこに、直美という女の子が現れる。

闇がぽっと照らされる、でも決して晴れることはない。

健康で全く死ぬ予定がないのに、死に執着する少年と、死にたくないのに死んでしまうであろう少女のやりとり。そこには奇妙さや異常さがあるのに、なぜかとても美しく見える。

あの頃の私は、そういう、本人たち以外には理解できない、なんとも言い難い2人の関係性に憧れのような感情を抱いたのだ。

恋愛でも友情でもない、真逆のベクトルを持っているようで、実はお互いに惹かれ合っている。

 

「切る前に、あなたに見てほしかったの。」

15歳の少女が、15歳の少年に自分の胸を見せる。

「私はあなたが好き」

「でも、徹也のことも好きだろう?」

幼なじみを思う特別な気持ちとはまた別の「好き」という気持ち。

これはどんなものだろう?

 

直美の感情にどんどん埋もれていく。

光がどんどん小さくなって、霞んで、消えていく。

きっと「15(いちご)同盟」を結んだ2人の心の中に溶け込んでいったのだろう。

 

直美が胸を見せるシーンにドキっとした、うぶな中学生だった私は、直美にたくさんのことを教えてもらった、と感想文に書いた。

 

命は輝いているということ

その命の輝きは、誰かと誰かをつなぎ、導くということ

その光は消えても、誰かの心に宿り続けること

 

命を輝かせながら生きている人の尊さ

自分の命に光を与えて生きていくには

今何をすべきか

自分のことは自分で決めて

責任を持って歩き出すこと

 

久しぶりに、直美が私のところに戻ってきて、大事なことを教えてくれた気がする。

こんなふうに、いつまでも心のどこかに残る本との出会いが、娘にもたくさん訪れますように。