panda life

白も黒もどちらも私。20代専業主婦の育児、生活、漫画と本の話。

「不安定」な時期にいる人、そんな人を支えたいと思う人へ / 森絵都『リズム』

 

自分が本当に好きなこと、やりたいことがわからない。

そんな「不安定」な思春期が、私にはあっただろうか―

 

 

なぜだろう?

私は春になると突然、森絵都の作品が読みたくなります。 

中学2年生のときに、『カラフル』を読んだことをふと思い出し、

そういえば他の作品ってほとんど読んだことがないなぁと気がついて、

図書館で借りてきました。

森絵都最初の作品、『リズム』

リズム (角川文庫)

リズム (角川文庫)

 

 主人公のさゆきと同年代の子どもたち、

中学生に読んでもらうことを想定して書かれた本だと思います。

 

れっきとしたアラサーの私は1時間半くらいで読み終えてしまいました。

 

一言でこの作品を説明すると、

自分の好きなこと、やりたいことがよくわからなくて、

誰かに依存してしまいがちな思春期の子どもたちへのエール です。

 

焦らなくても大丈夫。

まわりのことが気になって

自分がメチャクチャになりそうなとき、

心の中でリズムをとるんだ。

まわりの音なんて関係ない

自分だけのリズムを――。

 

自分の子どもが、進路や人間関係、生き方に悩んでいるなぁと感じる大人に、

ぜひ手に取ってもらいたい作品です。

 

「読んでみたら?」とプレゼントするのも良いですが、

一緒に読んで、自分の昔を振り返り語るのも良いのではないでしょうか。

 

 

ちなみに、中学1年生の私は、さゆきとは全然違うタイプでした。

 

同じクラスになりたいと思っていた子と違うクラスで始まった新学期。

少し憂鬱で、ふてくされて、ため息をつき、むすっとしながら担任になる先生の話を聞いていました。

でも、その先生は、そんな私を、「頷きながら話をしっかり聞いてくれる生徒」だと思っていてくれたようです。

そして、その先生は、今でも私の中で1番大好きな先生です。

出だしは不満たらたらだった私ですが、クラスで孤立することもなく、平和な学校生活を送り、大きな悩みもありませんでした。

 

 

小学生の頃は、先生との衝突も多く、それゆえ(?)成績もパッとしなかった私なので、自分が賢いと思ったことはなかったけれど、中学に入ってからの成績は常に1桁。

 

「え?私って頭いいの?」

ただテストの点数が良いだけだったのに、

努力すれば何にでもなれるんじゃないかって思い込んで、

それ以来、勉強が大好きになった。

やればやるほどますます成績も上がって、

大きな夢を持って、それに向かって真っすぐ生きていた。

 

だから、中学時代の私には、森絵都のいう「不安定さ」はなく、

この作品に共感できる部分は少なかった。

 

若くて幼くて、世界を知らない分、

自由に大きく夢を描くことができたという意味では、人生で最もお気楽な時期だった。

 

私は中学時代の、真っすぐでポジティブで努力家な自分がすごく好きで、

何度も何度も、あの頃の自分に戻りたいと思った。

 

人間が嫌いになって、学校が嫌いになって、やめてしまえばよかったのにやめることもできず、楽をしてその場を乗り切るというスキルだけが長けてしまった高校生の私は、それから今日までずっと、私の大部分を占めている。

 

 

人生における「不安定さ」というのは、時期も中身も人それぞれだけれども、

その「不安定」な時期に、支えになってくれる誰かがそばにいるかどうかということが、その人の明暗を分けるのではないかと私は思います。

 

主人公のさゆきには支えになってくれる人がいたけれど、私にはいなかった。

 

今更自分自身の境遇を悲観するつもりはないけれど、

私は、少なくとも自分の娘の支えにだけはなりたいです。

私が本をたくさん読んで集めて、娘がいつかその中のいくつかと出会って自分自身の人生を切り開いていくことができたら本望です。

 

さて、さゆきは今後どのような人生を送るのでしょう?

続編もあります。

 

ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

 

 

ちょっとした息抜きに読んで、自分の人生をぜひ振り返ってみてください。