panda life

白も黒もどちらも私。20代専業主婦の育児、生活、漫画と本の話。

救いようのない人を救うにはどうしたらいいか/辻村深月『朝が来る』

誰がどんなに心配して手をかけてやっても救いようのない人っているよね。

誰かが心配してくれて、助けようとしてくれるならば大丈夫。自分の人柄が良く思われている証拠だし、助かる見込みもある。

辻村深月の『朝が来る』を読んでいるとき、私は産後うつがひどかった時期のことを思い出した。

誰の前でも関係なく涙がぼろぼろこぼれ、感情を全く抑えることができなかったあの頃、私はたくさんの人に助けてもらった。家族ではなく、子どもを産まなければ出会うことのなかった人達に。

あの当時の出会いによって、私の中にあった価値観のようなものが大きく変化したように思う。

自分以外の誰かのためになる仕事をしたい。

就活生だった頃は全くピンとこなかったその思想が自分のものになった。

私を助けてくれた人達は、みんな自分の仕事をこなしただけだ。私を助けることが仕事になってしまったから助けてくれた。

でも、業務の一部をこなすことで、救われる人間がひとりいる。私は、気持ちを込めて仕事をしてくれたことに心から感謝している。

公務員も医者もカウンセラーも、どんな仕事でも、「誰か」を思いやって仕事をしたら気持ちがいいはずだ。独りよがりにならなければ。


朝が来る

朝が来る


この物語で救いようのないと思った人物は、中学生のときに妊娠・出産した片倉ひかりという女の子だ。産んだ息子を特別養子縁組で引き取ってもらった後の彼女の人生は…救いようのないものだった。

彼女の両親、特に母親は最低で、こんな親を持って気の毒な子だなぁと最初は親への憤りでいっぱいだったのだけれど、次第に、この子なんでこんなにバカ何だろう?と思ってしまった。

トラブルに直面したときの解決能力のなさ、同じ失敗を繰り返す愚かさ、恩を仇で返すクズっぷり。

そのくせ「普通」に生きている人間を心の中で見下しているのも可愛くない。

私ならこんな子を救いたいと思う勇気を出せない。
関わってリスクを背負うのが怖い。

でも、一番許せないのはその毒親だ。
私は、子どもは親の成績表だと思っているから、この親がひかりを見棄てるのは許せない。

もう成人だから、家を出たから、自分達は関係ない、何も知らないという親ならば、こてんぱんにやっつけたい。

ひかりの最大の不幸は、毒親をやっつけてくれる人も、やっつけたいと思ってくれる人もいなかったことではないかと思う。

親が悪いという視点で考え助けてくれる大人が誰もいなかったことがかわいそう。

そんな子どもを助けることができるのはどんな人なのだろう?

私にできることは、自分の娘にとって毒親にならないように気をつけることだけ。あとは、娘の友達を見て、何かを察してしまったとき、どう動くか。

当たり前のことだけれど、救いようのない人にならないためには、誰かに愛されなければならない。

救いたいと思うならば、その人を愛さなければならない。

本当に大切な人でなければ私は助けようとすることができない。

誰かの役に立ちたい、恩を返したい、感謝の気持ちを芽生えさせてくれる人は宝物だ。そういう人とたくさん出会っていくことが「救い」につながると私は信じている。