panda life

白も黒もどちらも私。20代専業主婦の育児、生活、漫画と本の話。

ドラマでしか見たことのなかったハチクロを今更だけど漫画で読んでみた

ドラマでハチクロを見たのが何年前だったのか、10年以上前かな?というくらいにしか思い出せない。
主人公の竹本祐太は平凡すぎて地味な印象、ヒロインのはぐみは、私にとっては、あまり可愛がれないタイプのよくわからない子だった。
それぞれの登場人物が実らない恋を経験する、ハッピーエンドとは言い難い虚しいストーリーだと思っていた。

ドラマと原作は全然違って、ドラマの方がつまらない場合がほとんどであることは、もちろんよくわかっている。でも、最後の最後に、幸せな気持ちになれない物語だと知っていながら原作に手を出す気にはなれなかった。


しかし、今回たまたま、妹の本棚から見つけ出して引っ張り出してきた。



読んでいると苦しくなる。重みに耐えきれず沈んでしまいそうな、幸せな場面でさえ心のどこかが痛くなるような、人間関係の難しさと美しさ。

ドラマと大きく違うのは、ひとつひとつの言葉の重みだと思う。恋愛という部分にばかりスポットライトが当たるドラマと違って、漫画は潜水艦で静かに深いところまで潜っていくような、ゆっくり、ことばや心を飲み込みながら味わえるところがよかった。


正直、竹本祐太とはぐみの印象はあまり変わらない。真山と山田と理花の三角関係と、森田自身のキャラクターに引き込まれた。

相手が自分に決してなびかないことを知っていながら、そしてその相手が自分の気持ちをよくわかっていて、それでいて優しくしてくれる状況、つまり、真山と山田の関係が残酷過ぎる。

読者が喜ぶようなかたちでふたりが幸せになることもない。

真山が、優しくしてはいけないことに気がついて、山田に駆け寄ることをやめたシーンは、最も好きなシーンのひとつ。

自分が出会って好きになるとしたら森田だと思う。勝手にいなくなって、いつ帰ってくるのかもわからない、でも、きっと大丈夫だと信じていられそうだから。

両思いでも実らない恋はある。
恋なんて、どの人間にとってもその一部でしかないわけで、それが実っただけですべて良し、みたいに思えるけれど、ハチクロは、もっともっと大事なものが他にある人達の物語なのだ。

すべてが終わった瞬間に、また始まる。モノクロなのに、まぶしい光が差し込んでくる。ただ真っ直ぐ進み続けたら何が見えるのか。

それは、自分探しの旅のように、きょろきょろしながら迷走する始まりではなく、ひとつの意志を持って、迷わず歩んでいく始まりなのだと思う。


読んでよかった。