panda life

白も黒もどちらも私。20代専業主婦の育児、生活、漫画と本の話。

『心が叫びたがってるんだ。』が思いの外気に入った3つの理由

実はネタバレや感想を確認してからの視聴だった。細谷さんの声を聴きたいという動機以外は持たずに見たのだけれど、思いの外、私のなかではそこそこヒットした。


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まず、主人公の坂上拓実くん。猫背ぎみに椅子に座りピアノを弾く。自分のとなりに女の子を置き、『悲愴』と『Over the rainbow』を組み合わせて弾いて聴かせる。

このシチュエーション、私のすごく好きなタイプだ。背中を丸めて静かにピアノを弾く控えめで大人しい男の子。私が好きになってしまうのってこんな人だ。しかも選曲が良い。

男子高校生ピアニストと言えば、『革命』とか『英雄ポロネーズ』とか派手目のショパンを得意気に弾きたいお年頃なんじゃないかな?と勝手に思っているのだけれど、坂上くんはベートーベン。
華やかさに圧倒されるのも悪くはないけれど、ゆったりとした重い響きをじっくり味わい、時計の刻みに時折胸をチクリと刺される音楽の時間が好きだ。

成瀬順ちゃんが惚れるのはよく分かる。ふたりきりでそんな特別なときを過ごしたら、勘違いしたくもなるし、自分の気持ちに気づいてしまったときには、苦しくて苦しくてたまらない。


次に、成瀬順ちゃんが自分の本音をぶちまけるシーン。それを冷静に受け止め、でも正直な気持ちを返す坂上くん。全く動揺せず、迷うことなくあっさり返事をする姿が、私は潔くて好きだと思った。普通ならもっと悩んで欲しいと思うのか?少しくらい、心が揺れて欲しいと思うのか?でも、ここであっさり終わったからこそ、ミュージカルに奇跡が起こったのだから、これで良いのだ。


1番のお気に入りシーンは、順ちゃんが『グリーンスリーブス』のメロディに自分の言葉をのせ、もうひとりの自分として舞台へ向かって歩いてくるシーン。心が震えた。それ以外には何にも言えない。


たったひとりでも頑張ろうとしている人がいるなら応援したい、一緒に頑張りたい、そう思ってくれる人と出会えるって幸せだ。誰かにとっての「そういう人」になれることも幸せだ。心のおしゃべりに足元を掬われて溺れていたヒロインが、真っ直ぐに通る声で歌い、叫ぶ。



私はまだ、叫ばない。