panda life

白も黒もどちらも私。20代専業主婦の育児、生活、漫画と本の話。

ONE PIECEが苦手な理由

帰国したとしおは、1日中寝ていた。
「ワンピースの新刊買ってきて」とLINEが飛んで来てから帰ってきてもなお、その返事が「既読」になることはなかった。


ONE PIECE 86 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 86 (ジャンプコミックス)


ONE PIECEを全巻集め、20年も読んでいるとしおとは違って、私はONE PIECEのファンではない。

小5のとき、アニメで見始めて、ビビ編が終わった頃に飽きて、パタッと見なくなった。

その後、大学3年のときだっただろうか。
日曜日の朝、たまたまテレビをつけたらONE PIECEで、ブルックのお話だった。

船で、ブルックとその仲間たちが、死ぬまで演奏し、歌い続ける場面。ひとりずつ、力尽きて死んでいくのに、ブルックだけは死ぬことができず、独り涙をボロボロ流しながら演奏し続けていた。

久々に、しかも途中からにもかかわらず、泣きながら見たのを、今でもはっきり覚えている。
アメリカに留学する前だった。留学している間は全くテレビを見なかったので、やっぱりONE PIECEの存在はすっかり忘れてしまった。

その後、再びONE PIECEを見始めたのは、としおが録画したビデオを同じ部屋で見ていたからだった。

嫌でも声が聞こえる。気になるセリフがあれば、自然とテレビの方を向く。

ドフラミンゴとの闘いだった。ローがドフラミンゴの弟コラソンの仇を打つべく闘っているのを知った。コラソンとローの命の旅に泣いた。

初めから死んでしまうとわかっているキャラクターの回想シーンを見ることほど胸が痛くなることはない。

ローがDの隠し名を持っていることを知ったコラソンは、ローを連れ去り、ローの病気を治す旅に出た。ローはコラソンを悪い奴だと思っていたけれど、ある夜、コラソンが自分のために涙を流しているのを見て、心が動いた。「コラさん」と呼んで慕うようになったのだ。コラソンは、自分の命を犠牲にして、ローを救う。

優しい両親を亡くし、自身も迫害され苦しんできた過去を持つのに、正義を貫き、ひとつの命を救ったコラソンは、ONE PIECEの中で1番好きなキャラクターだ。

もう私も、ドフラミンゴを許すことができなかった。どうしてもこの目で、ドフラミンゴが失墜するところを見なければ‼アニメを毎週見ることはもちろん、このとき始めて単行本を手に取り、ストーリーを先取りした。

ドフラミンゴをやっつけたら、すっかり満足して、私はまた、ONE PIECEを見なくなった。

「ありったけの夢をかき集め」る物語は、確かにワクワクするけれど、一個人の私欲が招く犠牲があまりに大きくて辛いのだ。

ベルメールさんとナミ、ノジコの別れも、ゾロとくいなの別れも、エースとルフィの別れも、全部死別。美しく描かれるけれど、受け止め切れない。

ルフィたちは、悲しみを乗り越え、冒険を続けているのに、私は乗り越えられず、まだ、ベルメールさんが殺されたシーンを鮮明に覚えている。


ハリーポッター』が苦手な理由も同じだ。犠牲があまりに大きすぎて、平和を掴んだ感じがしないのに、ハッピーエンドで終わっちゃったみたいになってるのが腑に落ちない。親の七光りのようにしか見えないハリーは、命を犠牲にして守るに値するのか?という疑問が拭えない。


進撃の巨人』が平気なのは、守られているエレン自身も、人類の未来のために命を捧げる覚悟ができていること、人類の存続という、命を犠牲にしなければならなかった理由が明示されているから、辛いけど飲み込んで読み続けられるのだと思う。


何に自分の命を使うか。自分で選択することはとても大事。